2017年8月29日火曜日

低空飛行者は2度死ぬ。

entry #12
<サッドマネージメント塾-第12夜>

鬱に陥る理由はさまざまです。
そもそも気分が低い人は、ほんの些細な出来事でひどく落ち込んでしまいます。
普段はとても元気なのに、大きな悲しみに遭遇して鬱状態になる場合もあります。
それ以外にも、なにという理由もなく、社会情勢や景気、自分が置かれている状況など、普段から悶々とした人生を生き、そうしたすべての要素が折り重なって鬱状態に落ち込んでいく人もいます。

鬱状態のことを「低空飛行」と表現した精神科の医師がいました。
うまい表現だと思います。私もこの言い方をよく使います。
低空飛行でも、墜落しない限りは生きていけます。
ただ、地面が近いので、墜落するとなるとあっという間に地面に激突してしまいます。
だから、地面にぶつからないように注意して飛行を続けることが重要です。

高度の高い状態から低空へと降下していく、つまり鬱状態に向かって真っ逆さまに下降しているとき、勢い余って地面に激突する確度が高まります。
これがいわゆる自死につながる第一の危機です。
危ういところで止まって、なんとか低空飛行でもいいから安定に持ち込めれば、しばらくは安心です。

ところが、この低空飛行から高度を上げていくときに、第二の危機が訪れるかもしれません。
とりわけ、静かな安定した状態の鬱から徐々に高度を上げていくのではなく、いきなり躁状態になるような人は危険だと聞きます。
鬱とはうって変わってなんでもできるようなハイな気分が訪れると、勢い余って飛び降りてしまうケースがあるそうです。
静かな鬱からの脱却時でも、上がりそうになってからまた操縦桿を下げてしまい、不安定な状況から墜落してしまうという感じでしょう。

低空飛行に向かうとき、そして安定した低空飛行から抜け出すとき、
人は2度危機に直面しているということを留意しておいてください。


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