2017年8月29日火曜日

死に至る病

entry #13
<サッドマネージメント塾-第13夜>

「死に至る病」とは、デンマークの哲学者セーレン・キェルケゴール(1813年5月5日 - 1855年11月11日)が著した哲学書のタイトルです。副題は「教化と覚醒のためのキリスト教的、心理学的論述」です。

私ははるか昔、高校生の頃このタイトルと出会い、深く感銘しました。
死に至る病って……どういう病なんだろう?
この訳本を購入した覚えはありますが、この方読んだ記憶はございません。
が、なんとなくタイトルだけでも内容の一部は察することができそうです。

ウィキペディアによると……以下抜粋。

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死に至る病 - Wikipedia

出だしは新約聖書『ヨハネによる福音書』第11章4節で引用されている「この病は死に至らず」の話を紹介する文章から始まり、「死に至る病とは絶望である」と「絶望とは罪である」の二部で構成される。
本書でキェルケゴールは、死に至らない病が希望に繋がる事に対して死に至る病は絶望であると述べ[4]、絶望とは自己の喪失であるとも述べている[6]。しかし、この自己の喪失は自己のみならずとの関係を喪失した事となり[11]、絶望はであるとしている。そして人間は真のキリスト教徒ではない限り、自分自身が絶望について意識している、していないに関わらず実は人間は絶望しているのだとと説いている[4]
その絶望は、本来の自己の姿を知らない無自覚の状態から始まり[12]、更に絶望が深まると「真に自己」であろうとするか否かと言った自覚的な絶望に至る。絶望が絶望を呼び、むしろ絶望の深化が「真の自己」に至る道であるとしている。
第二部では絶望は罪と説いており、この病の対処法としてキリスト教の信仰を挙げ、神の前に自己を捨てることが信仰であり[10]、病の回復に繋がるとしている[6]
また、人間が起こす躓きは大きく三段階に分けられるとしており、
  • 信じもしないが判断も下されない段階
  • キリストを無視し得ないが、信じることもできない段階
  • キリストを否認する段階
キェルケゴールはこの三段階が決定的な死に至る病であると述べている[9]

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ウィキでさえ、ちょっと読むのが面倒臭い記述。
ましてこの哲学書の読破は。

キリスト教的部分は、教徒でない私にはまったく理解不能ですが、死に至る病は絶望であるという部分は文字どおりに理解できるし、まったくその通りではないかと信じます。

パンドラの箱には希望が残っていたという逸話が示すように、人間が生存するために必要なのは、希望。その希望をも逸してしまったときに絶望が訪れる。
絶望は、人が生きていく力を失わせてしまう。
絶望することによって、生きる価値も失われてしまう。
生きる価値を失ってしまうと、もはや死んでいるのと同じ。
身体はまだ生きていても、生きる屍になってしまった人間にとって、そのまま生きているのも、肉体を自ら滅ぼしてしまうのも変わりがないように感じてしまう。
こうして死に至るのだ、と勝手に解釈しているのだが、違うでしょうか?

低空飛行者は2度死ぬ。

entry #12
<サッドマネージメント塾-第12夜>

鬱に陥る理由はさまざまです。
そもそも気分が低い人は、ほんの些細な出来事でひどく落ち込んでしまいます。
普段はとても元気なのに、大きな悲しみに遭遇して鬱状態になる場合もあります。
それ以外にも、なにという理由もなく、社会情勢や景気、自分が置かれている状況など、普段から悶々とした人生を生き、そうしたすべての要素が折り重なって鬱状態に落ち込んでいく人もいます。

鬱状態のことを「低空飛行」と表現した精神科の医師がいました。
うまい表現だと思います。私もこの言い方をよく使います。
低空飛行でも、墜落しない限りは生きていけます。
ただ、地面が近いので、墜落するとなるとあっという間に地面に激突してしまいます。
だから、地面にぶつからないように注意して飛行を続けることが重要です。

高度の高い状態から低空へと降下していく、つまり鬱状態に向かって真っ逆さまに下降しているとき、勢い余って地面に激突する確度が高まります。
これがいわゆる自死につながる第一の危機です。
危ういところで止まって、なんとか低空飛行でもいいから安定に持ち込めれば、しばらくは安心です。

ところが、この低空飛行から高度を上げていくときに、第二の危機が訪れるかもしれません。
とりわけ、静かな安定した状態の鬱から徐々に高度を上げていくのではなく、いきなり躁状態になるような人は危険だと聞きます。
鬱とはうって変わってなんでもできるようなハイな気分が訪れると、勢い余って飛び降りてしまうケースがあるそうです。
静かな鬱からの脱却時でも、上がりそうになってからまた操縦桿を下げてしまい、不安定な状況から墜落してしまうという感じでしょう。

低空飛行に向かうとき、そして安定した低空飛行から抜け出すとき、
人は2度危機に直面しているということを留意しておいてください。